峯野龍弘のアガペーブログ

心にささやかれた愛の指針

「ウルトラ良い子」論

                      G.サーバント

第1章 

今日、テレビやラジオ、新聞などでしばしば世間を騒がせている、いわゆる「問題児」と呼ばれる多くの青少年たちがいます。しかも、残虐にして冷酷な殺人や傷害の手口のゆえに、世間からはあたかも殺人鬼のように恐れられている青少年の存在も、悲しいかな珍しくはありません。しかし、これらの青少年たちの中には、本来はその正反対に、通常の平均人よりもはるかに卓越した人間性を生まれながらにして身に受けて誕生してきた青少年が、決して少なくはないのです。彼らは本来なら実に純粋かつ真実で、心やさしく、情感豊かで、その上他者配慮や使命感に満ち溢れた、まさに他者貢献的な良き資質を持った、更には鋭敏な直感力や霊感に富んだすばらしい人物たちであったのです。それゆえ筆者は、彼等のことを「ウルトラ良い子」と命名しました。

 

ちなみに通常、人々は「不登校」や「引きこもり」「いじめ」「家庭内暴力」「摂食障害」「リストカット」「麻薬」「非行」・・・挙句の果てには「自殺」や「他殺」にまで及ぶ彼らを問題児、落ちこぼれ、人格障害児、悪童(あくどう)、ろくでなし、遂には極道者(ごくどうもの)などと様々な言い方で身勝手に呼称しますが、これは何と彼らにとって不名誉な、残酷かつ無理解極まりない誤った言葉であることでしょう。こう呼ばれることによって彼らの自尊心はますます傷つき、癒しは更に遠のいてしまいます。


ところで、世間ではよく自分や他人の子供たちを、無意識の内に大枠で「良い子」「悪い子」「普通の子」、更に「極めて良い子」「極めて悪い子」の五つのカテゴリーに分類し、評価してしまっていますが、筆者はこの五つのカテゴリーに入らないもう一つのカテゴリーのあることについて、あえて提唱したいと思います。それが前述した「ウルトラ良い子」です。これを「超良い子」と日本語的に呼んでも良いのですが、より多くの親しみと、並でないスケールで彼等の本性、感性の内に宿っている天よりの賜物の卓越性を考慮して、あえて奇妙に思える「ウルトラ良い子」と命名させていただきました。その意味するところについては後程詳細に解説することにいたしましょう。
しかし、ここで一言しておきたいことは、この「ウルトラ良い子」と言う概念は、先の五つのカテゴリーと縦並びに配置して最上位にランクされると言うような、いわゆる人間の能力評価やグレードを意味しているのではなく、人間の良し悪しをはるかに超えた天与の感性や性質の卓越性を意味するものであって、誰もこれを誇ったり、媚(こ)びたりすべきものではないのです。ただ大切なことは、この性質と事実を認知し、受容し、育成、活用することなのです。

 

さて、このような天与の鋭敏で、かつ純正な生まれつきの卓越した感性を付与された「ウルトラ良い子」の存在とその性質については、今日までほとんど洋の東西を問わず世間で話題にされたことがなく、しかも専門家たちの間でさえこの問題に真正面から真剣に取り組んで来た者がいませんでした。

 

筆者は、過去50年の間、心傷つき病む青少年たち、また同様の多くの大人たちのケアーに当たる中で、徐々にこの「ウルトラ良い子」の存在とその性質について気づかされ、人間関係をまろやかに結び得ず、社会的不適応や様々な異常心理、異常行動を惹き起こしてしまう、いわゆる世間で境界性人格障害(きょうかいせいじんかくしょうがい)、解離性障害(かいりせいしょうがい)、行為障害、更には摂食障害、各種依存症、果ては非行などと呼ばれる様々な病める症状を呈する人々の内の大部分が、何と本来はこの「ウルトラ良い子」であったという驚くばかりの事実を発見するに至りました。この発見は、同時に筆者にとって二つの重大なチャレンジとなって、心に深く迫って来ました。


その二つの重大なチャレンジとは、他でもなく第一は、では「何ゆえかかる『ウルトラ良い子』が、心傷つき深く病む存在となってしまわなければならなかったのか」と言う重大な問いであり、第二は、言うまでもなく「如何にしたらこの心傷つき深く病んでしまい、かつ異常心理、異常行動を惹き起こしてしまっている『ウルトラ良い子』たちを癒すことが出来るのか」と言う重大な問いでした。

 

爾来(じらい)、今日に至るまで、筆者はひたすらこの二つの重大な問いに答えたいと切に念願しつつ、この「ウルトラ良い子」論を基盤に据えて、数多くのクライアントと共に、直面する多様かつ深刻な事例の解決に従事してまいりましたが、その結果そこに見出したこれまた驚くばかりのすばらしい事実がありました。それが「アガペー(真の愛)による全面受容とその全き癒やしの道」と呼ばれるものでした。これはまさに驚くばかりの真理であり、癒やしの法則(原理)です。筆者は、これを「神が人類に与えられた永遠不変の人間性への癒やしの原理」と呼んでいます。これは「天与(てんよ)の法則」であり、人間を愛し給う神からの大いなる祝福の賜物です。この点に関しても後で詳細記述することにいたしましょう。


 なおここで、一言前置きさせて頂きたい大切な一事があります。それは何とこの「アガペーによる全面受容とその全き癒やしの道」は、如何(いか)なる種類の心傷つき、病みかつ苦悩する人々にも適用可能であり、この道に従って歩む者には必ず待望の癒やしが訪れるという事実です。本稿をご一緒に最後までじっくりと学んでくださる方々には、この事実がきっと納得していただけるものと確信しています。次回は、「ウルトラ良い子」の特質について述べてみましょう。

 

 

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